小説家、作家の文章の巧さを決定づけるもののうち、特に比喩表現には興味がある。
フィルムに風景を焼き付けるフォトン(光の粒子)のごとく伝えたい内容を浮き彫りにしていくようなテクニックであるし、
境界線を曖昧にすることでよりリアルに感じさせるテクニックでもある。
レトリック研究の足元にも及ばないだろうけども、まずは『1Q84/村上春樹』の比喩表現を集めて、並べてみたい。
昆虫マニアが似たような羽虫を一つ一つ丁寧に箱の中に並べていくように、まずは収集してみよう。
もうこれで完成だよと言えるくらいまで敷き詰めたら、その箱は昨日までのガラクタではなく新しい意味が備わっているはずだ。
さっきまで散り散りに光っているだけだった星空が、一度星座の形を覚えるともう二度とノイズとして認識しないように。