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YUlAN design studio/ユラン デザインスタジオ/では
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■”YULAN”とは日本語でハクモクレンのことです。
東京では3月の初旬から中旬にかけて、眩しいくらいに真っ白に輝いて咲くハクモクレンです。
私はこの花が大好きなので、屋号に取り入れることにしました。
そこには建築設計事務所を立ち上げ、深い信念に基づいてこの職業と向き合っていく意思を示せると思ったからです。
ハクモクレンの咲く時期というのは、東京ではソメイヨシノの咲く直前になります。
多くのJapaneseが待ちどうしくてたまらない、国民的イベント”HANAMI”を間近にした3月初旬、人知れずハクモクレンは満開でその花弁を豪快に散らしています。
しかし、まだまだ外の気温は低い時期で、花が咲く時期としては早い気がしますね。
実は他の花よりも早く咲くことで生存競争に勝ってきたハクモクレンの進化の知恵が隠されているんです。
私たちが見ているハクモクレンの開花した姿は、花としてほぼ役目を終えている姿というのはご存知でしょうか?
ハクモクレンの場合はまだ桜も咲かない蕾の時期に花としての成熟期を迎えているので、開花した姿は花としての寿命も尽きる頃ということになります。
花というものは綺麗に咲いている頃が花としての成熟期なんだと私たちは勝手に思ってしまいますが、ハクモクレンは蕾のまま成熟する。おそらく他の種の真似をしていては生き残れないということなのでしょう。
それはどういうことか?
2月中旬から3月初旬の間でしょうか、この寒い時期に成熟した蕾の中へ、虫が暖を求めてやってくる。
それら虫たちが受粉を促すことでハクモクレンの生態系は維持されています。
いわゆる植物と虫の共生ということが成立している。
動植物の姿形や生態系を考えたときに、今見えているそのような形とか色とか動きは単純に生存競争の為だけに決定されたものではありません。もっと複雑なほかの動植物や自然環境との関係で“この瞬間”に存在を留めているのだと思います。
特に共生の面白いところは、お互いの利害関係のみで成立していながら、決して合理的とも言えない関係がある。
双方の存在を決定するために双方の条件が絶対必要な関係。
ハクモクレンだけの要求では決まらず、虫からの要求だけでも決まらない。どちらも欠かすことのできない存在ということ。
これ、当たり前のようでいて私たちの人間社会では意識をしないと忘れがちだと思うのです。
「デザインは付加価値である」 この言葉、よく耳にしたり使っていませんか?
考え方は正しいと私も思いますが、言っていることには納得が行きません。フカってなんでしょう。
【価値/Value】という意味を考える時私たちは、「本質的価値」とそれ以外の「付加的価値」とに分けて考えようとします。
そうすることで論理的に整理することができ、価値について科学的な分析を試みることができる。
また、レトリックとして使い分ければ説得力がありますし、付加的価値のみを見出すことが出来れば、物事の生産効率を上げることに対しても大変有効だと思う。
ですが、建築などの人の生活に直接関わるモノは「付加的価値」なんかでは構成されていません。どのような要素も「本質的価値」に高度に組込まれたものだと思うからです。
ハクモクレンと虫の共生のように。