2008年三井デザインコンペのテーマです
このテーマから3つの異なるプランニングコンセプトを考えました
『四角い居間のある家』
『work space gallery を楽しむ家』
『コーナーとニッチのある家』
『四角い居間のある家』
①家の中央に一段下げた四角い居場所を作る、その周りに諸室を配置する
②象徴的な居間の下で「居る」という風景を創り出していく
③手摺ばかり見えてしまう外壁側よりも中間居間にする事で、仰角で外を眺めることで極力カーテンを用いない窓の関係を作る
私達は人生の多くの時間を「居る」という、やや消極的な状態ですごしている。
積極的に活動しているわけではなかったり、一人で何気なく過ごす「居る」という状態には、本質的な生活がある。
「居る」という状態は住まいを機能的な側面で眺めても見えてこないため、商品住宅では充分に解決されているとはいいがたい。
それはちょうど成長という事を、単なる還元主義的な目的として考える事の誤まりに似ている。
何を成長させるか?どうすれば成長するか?それを何に活かすべきか?
そこに「どう成長していくのか」という問題を忘れると、成長に溺れた人間は、本質を見失っていく。
「どう成長していくのか」という問題は一人ではなかなか気づけない。
社会や夫婦や子供との関係があって、はじめてその事に気づける。
『work space galleryを楽しむ家』
①並列に作ったワークスペースギャラリーが室内の大きな風景になる
②キッチンライフもリズムが生まれるように長い動線で風景を作る
③3つの動線が穴として居間の風景をつくる
work hobby lifeのバランスと成長を日々実感し、どれもを充実させようとする事は1つの目指すべき生活だ。
それぞれが刺激し合あうことがバランスといえるし、家族や友人と楽しむ事が出来たら成長の可能性は広がってゆく。
『コーナーとニッチのある家』
①居間というほどまとまった空間ではないが、広めの通路のようなスペースをつくる。
②T字に接続する事で生まれた、中心らしきところが大きめのコーナーになる。
もしテーマに反して「夫婦の成長を阻害するもの」があるとすれば、前提的な「平等な関係」にヒントがあると思った。
夫婦という形態の、男女の平等性は個人差はあれどそうあるべきと思う。
一方でその平等という理想と関係が、堅くて厄介な”人間/人間”みたいな関係へ変えてしまうことがあるのではないだろうか。
”人間/人間”よりも”わたし/あなた”とか”おとこ/おんな”とかの関係の方が一緒に生活するうえで必要なことだし、それによって何らかの成長につながっていく。
逆をいえば「夫婦」自体に、互いに成長する要素がとてもたくさんある。
ほど良い距離を保ちながら、意識からは外れない存在で居られるような空間を考えた。
やや小さなスケールがちょうどいい身体感覚を創り出すと思った。
たとえばコーナーやニッチはちょうど人間同士のコミュニケーションにうまく媒介したりする。
家具や小物よりも人間同士の間にうまく入り込んでくる。
それが通路のような長い空間で、ストーリー性を帯びてくる。