高層ビルのピロティに
50平米のカフェ空間を考える
【smoke】つまり煙は、新鮮な空気【wind】と対比の関係にある。
煙は目に見えるし匂いなどの性質があるが、空気にはわざわざ意識するほどの性質がない。無味無臭だ。
そこに喫煙者の反論できない本質がある。
同じ次元で考えるために、ここでは再定義をしたい。
タバコを吸う人は考える煙である 【Thinking smoke】
ここでタバコを吸わない人を 【Thinking wind】としたい。
どちらも考えるという自由な権利を与えられた対等な立場である。
同時にそれは主体性を意味する。
主体性がなければ元の【smoke】【wind】に戻るだろう。
<高層ビルのピロティに50平米のカフェ空間を考える>
細長い短冊状のプランへ、動きのある連なった屋根をかける。
【Thinking smoke】と【Thinking wind】が、その下で、程よいところで接点を持つことができ、街に対してもカフェの風景を展開してくれることを期待した。
屋根が持ち上がった高いところでは、光が集まって緑が揺れて、風が通り抜けて、静かにBGMで満たされる・・・
屋根が踏ん張る低い場所では、街の景色が庇の下に見えたり、落ち着いて本を読んだり、コーヒーを美味しく感じたり、アイディアを書き留めたり・・・
時間帯、曜日、季節、天気・・・によって変化する人の混雑度や喫煙率から、空調の方法、強さ、頻度を運用していくことを考え細長いパイプの気積を持つプランになる。
内部の気流を制御しやすく、また提供される喫煙スペースが固定化されず流動的に変化することが可能だと考えた。
そのためには喫煙者の割合によって、いくつかの使い分けが必要だと考える。
① 【Thinking smoke】と【Thinking wind】との境界線付近へ床から外気 を流入させ正圧とすることで煙の移動をコントロールする。
② 風の心地よい季節は自然に通り抜ける風によって換気を行う。
③ 空調機によって排気する。
細長いプランに生まれる【Thinking smoke】のスペースが固定化されることなく【Thinking wind】との接点が流動的に変化するカフェ空間を提案する。